2019年のEUオーバーシュート・デー: EUの消費が世界標準であったら、地球の年間自然予算は5月10日に使い果たされていただろう

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WWFとグローバル・フットプリント・ネットワークによる新たな報告書によると、2019年5月10日は、もし世界中の誰もがEU居住者と同じように暮らしていたら、人類が自然の年間自然予算を使い果たしてしまったであろう日です。

人間社会は、食料、繊維、木材、炭素吸収、インフラを構築するための土地など、自然が提供するものによって支えられています。しかし、もし世界中のすべての人々が私たちがEUで享受しているのと同じライフスタイルを共有していたら、人類はすでに5月10日までに、地球の生態系が年間を通じて再生できる限りの量を使用していたでしょう。これは、そのようなライフスタイルに必要な天然資源の需要を維持するには、地球2.8個が必要であることを意味します。

対照的に、地球の生態系が年間を通じて再生できる量の生態資源を人類が使い果たした日である「アース・オーバーシュート・デー」は昨年、8月1日でした。その年の残りの期間、人類は自然資本を枯渇させて活動します。この過剰使用を「オーバーシュート」といいます。

私たちの生態系のオーバーシュートの影響には、世界的な森林破壊、生物多様性の損失、水産資源の崩壊、水不足、土壌浸食、大気汚染、気候変動が含まれ、干ばつ、洪水、山火事などの原因になる異常気象がより頻繁に発生します。さらに、これらの脅威は緊張と紛争をもたらし、世界的な不平等を悪化させます。

この報告書は、EU加盟国のエコロジカル・フットプリントと世界の他の国々のエコロジカル・フットプリントとの多くの違いを浮き彫りにしています。また、EU諸国間で大きなばらつきがありながらも、持続可能なレベルで業績を上げている国が1つもないことも示しています。

この報告書は、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間化学政策プラットフォーム (IPBES) 」[1] の今週の科学報告書の深刻な調査結果を反映しており、5月9日にシビウ (ルーマニア) で開催される重要な「欧州の将来に関するEU首脳会議」に先立って発表されました。[2] それはまた、欧州議会選挙のわずか2週間前です。それは、EUのオーバーシュート・デーを今年のもっと遅い時期に延期するために必要な緊急の変革に関する推奨事項を提供します。これには、とりわけ、2030年までにヨーロッパの自然を完全に保護し回復し、2040年までにEUの気候を中立化するための行動が含まれます。

WWF欧州政策事務所のディレクターであるエステル・アシン氏は、次のように述べています:「EUオーバーシュート・デーは、EUの消費が迫り来る地球の生態系と気候の崩壊の一因であることをはっきりと気が付かせるものだ。このような消費は無責任であるだけでなく、完全に危険だ。早急な行動が必要であり、EUリーダーたちはこの状況を緊急事態として扱い、欧州の持続可能な未来に向けた道を示す政治的意志を奮い起こさなければならない。WWFは、国連の持続可能な開発目標がEUの活動すべての中心に据えられること、そして欧州議会選挙後には、私たち全員にとって不可欠なものを守るための気候と環境に関する具体的な行動を含む欧州サステナビリティ協定が採択されることを求めている」

グローバル・フットプリント・ネットワークの創設者兼代表であるマティス・ワケナゲル氏は次のように述べています:「私たちはねずみ講を実行しており、未来から資源を奪って今日の経済を運営している。これがヨーロッパの繁栄にとって危険であることは、改めて言うまでもない。財務と同様に、資源の面でも慎重な会計処理が必要だ。自然をどれだけ利用し、どれだけあるのかを知る必要がある。私たちには選択肢があるが、私たちの未来を枯渇させることを選択するのは私たちのためにならない。欧州議会選挙は、私たちに永続的な繁栄を可能にする別の道を選択する機会を与えてくれる」

 2018年10月、WWFは、気候変動、自然保護、持続可能な開発に関して今後5年間に取られる予定である包括的な一連の目標と行動からなる「欧州サステナビリティ協定」のすべてのEU指導者および選出された代表者に向けた「グローバルな行動喚起」を発表しました [3]。WWFは欧州議会、欧州委員会、欧州理事会に対し、欧州議会選挙に続いてすぐにこれらの行動を承認するよう求めています。これは、これにより、EUのエコロジカル・フットプリントが大幅に減少し、EUはパリ協定と国連の持続可能な開発目標に基づく国際約束を順守することだけでなく、ヨーロッパの長期的な安定、安全、繁栄を守ることを可能にします。


注釈:

[1] 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の化学報告書 

[2] 2019年5月9日、EUの国家元首や政府首脳はルーマニアのシビウで非公式の欧州理事会を開催し、EUの2019年から2024年までの期間のために次の戦略的アジェンダについて話し合う予定である。詳細については、こちらを参照。
 
[3] WWFのグローバルな行動喚起 – より安全で、より競争力があり、責任あるEUを目指す欧州サステナビリティ協定、2018年10月 

その他のリソース:

Living beyond nature’s limits: EU Overshoot Day 10 May 2019

Original resource: WWF

Image credit: Global Warming Images, WWF

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