資源をめぐる紛争

資源を分かち合うことにおける人類の断続的失敗によるただならぬ結果は、土地、化石燃料の埋葬量や他の重要な工業材料をめぐる国家間の紛争の激化です。

Stop war writing on wall

現在石油およびガス供給において特に、およそすべての政府が安全保障へ資金をあてることに主な戦略的重要性をおいています。その結果は、軍力の蓄積と展開の背後にある、不可欠な資源をめぐる競争が統治原則となりつつある新たなグローバル環境です。核兵器の激増が衰えることなく続く一方で、世界の未開発天然資源確保のための争奪戦のどのような激化も主要な先進国の間の壊滅的な戦争への可能性を拡大するのです。

海外のエネルギー資産の保護に活発な軍隊の役割の必要性は、世界の多くの国々にとって権威上の主題であり、海外政策と国家安全保障の戦略両方の中心核にますますなり続けています。1965年から1990年の間だけで毎年千人以上の死者をだした、資源をめぐっての内戦が73も起こり、それ以来少なくとも18の国際紛争が資源競争が引き金となり起こっています。重要な資源権益の確保が、2003年のイラク侵攻は当然のこと、1991年の湾岸戦争への介入を正当化するための重要な要素であったことを多くの分析者が同様に主張しています。

今日でさえ、北極、東と南シナ海、フォークランド諸島周辺とその他の地域の石油とガス埋蔵を支配するために国家同士が競い合うたびに、将来の暴力的衝突の可能性が増大します。地球の残り少ない天然資源を支配するために激烈に競い合う現在の軌道に政府が乗り続けると同時に、多くの要因のすべてが近い将来暴力的衝突のさらなる激化を確実にします。それは、エネルギーと原材料への要求の莫大な増加に拍車をかける、世界人口の増大と発展途上国の迅速に拡大する消費者層を含みます。気候変動の影響もまたこの先数十年間において食料、水、土地、そして他の極めて重要な資源へのアクセスを劇的に制約することにより資源不足をさらに悪化させるでしょう。

協力的取り組み

この問題について公の議論が皆無でありながらも21世紀の実行可能な資源安全保障戦略は、国家権益と繰り返し発生する紛争よりむしろ国際協力と資源の分かち合いの代替的骨組みに基づかねばなりません。そのような骨組みがどのように機能できるかについて様々な選択がある一方で、世界の既存資源の備蓄への公平なアクセスを確実にすること、深刻な欠乏および緊急事態時の不足を暖和し生活必需品への全般的アクセスを保証するために堅固で公平な国際体制を確立することは不可欠でしょう。国連のシステムを通じて取り組み、国際社会は再生可能エネルギーへ投資を向け、代替的エネルギー技術の出現とともにそれを分かち合うことにより世界の化石燃料埋葬量へのプレッシャーを軽減することも可能です。

資源安全保障への協力的取り組みは紛争を回避し、社会・環境危機へ対処するために必要なだけでなく、世界の軍事費からかなりの財源を救出し、国家間の善意をもまた育成することでしょう。このような戦略を交渉する例外的プロセスに従事するためだけにでも、基本的に「勝利者がすべてを獲得する」世界資源の獲得パラダイム – 特に化石燃料に関しては – を現在支配するゼロ・サム的、国家主義的衝動を政府は乗り越えねばならないでしょう。同時に、エネルギーと原材料への持続不可能な要求を推進し、迅速に激化する消費率を軽減するために政策立案者は備えねばなりません。最終的にそれは、その存続する成功のために消費レベルの無制限的上昇を要求する優勢的経済モデルを根本的に考え直し、限りある資源の供給に依存しない新たな工業プロセスを取り入れることを意味するでしょう。

土地、水、または化石燃料をめぐる未来の紛争の回避を可能にする協力的解決策を心に描くことは理想主義的に見えるかもしれませんが、人類は回避不可能な選択に直面しています: 環境的コモンズをより公平に分かち合う方法を見つけるか、激化する資源への競争の道を続けさらなる経済的痛手を受けること、気候変動の激化、そして最終的に第三次世界大戦を可能にする危険をおかすかのどちらかです。


上記は「グローバル経済の分かち合い入門」からの抜粋です。

フォト・クレジット:Señor Codo, フリッカー・クリエィティブ・コモンズ

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