世界改革への長期的取り組みの優先事項として、政府は経済システムが主に全国民の基本的ニーズを充足することへ向けられることを確実にせねばなりません。

緊急援助プログラムと外国援助の既存の形態は、長期にわたる国際的人権への責任に沿った社会保護と公共サービス提供の全国的システムの設定によって受け継がれなければなりません。グローバル・ノースと、特にグローバル・サウスの政府が、より自給自足の持続可能な経済発展のために権限を与えられる必要があります。それは、21世紀の社会経済政策の最重要目標とならねばなりません。
社会福祉と公共サービス提供のシステムは、様々な形態で世界中に存在する基本的に複雑な「分かち合いの経済」です。累進課税と再分配の過程を通じて全体としての社会の利益のために、国家の財源の一部を国民が集合的に分かち合います。多くの場合完璧から程遠いとはいえ、社会保護の全国的な制度は、国内の富を再分配し、不平等を減少させ、社会的一体性を強化する結束と社会正義の一表現です。
社会保護の普遍的提供は(社会保障給付、公共医療サービス、教育、住居、水と公衆衛生、公共インフラ、公共交通機関を含む)、国の社会契約の一部となるべきであり、民間やチャリティ部門へ任せることは不可能だと多くの専門家が認識しています。これは必然的に、政府の強力な介入主義的役割、厳しく規制された市場、公共サービスの非商品化、そしてニーズを明確に述べる権限を必要とする全国民の民主主義的参加を必要とします。
強力な税務当局と効果的な金融行政によってもそれが左右されるということは、大きな非公式部門、頽廃と管理の手落ちという内部問題をもつ多くの貧困国にとって主要な挑戦です。ほとんどの低所得国の税収と、援助依存と債務をなくすために必要とされるものの間には大きな溝が残ります。
何十年もの間、貧しい国々は、公共財とサービスへの普遍的アクセスを保証するための十分な国内収入を増す力を厳しく制約されてきました。海外での投資、違法な資本逃避と公債の返済などの要因のコンビネーションが原因で、莫大なお金が貧困国から富裕国へと流れています。「自由市場」経済プログラムにより強制された貿易の自由化への圧力は、グローバル・サウスの多くの政府からさらになくてはならない収入を剥奪しました。実に、1980年代と1990年代の悪名高き「構造調整プログラム」は、多くの発展途上国に存在した基本的セーフティーネット(安全網)を効果的に取り除きました。
グローバルな分かち合いの経済
今日、高所得国においてでさえ、IMF先導の緊縮財政プログラムが社会福祉システムを後退させており、公共サービスを弱体化している政府の政策は、一般的に誤った方向へ向かっています。分かち合いの社会の概念そのものへのこれらの分断的で有害な施策の影響を翻すために更新された社会経済モデルは、万人の公共サービスに投資し、環境と気候に調和した経済政策の上に創立された公平で再分配的課税制度を構築せねばなりません。
それにもかかわらず、最低限の社会保障を5人のうち4人が拒まれ、 先進国の人々が当然とする最も基本的な福祉でさえも世界人口の大部分にとっては依然として夢なのです。結果的に、高所得国は、より貧しい国々がまともな雇用と活気に満ちた多様な経済を育成するために必要とする、生産能力の発達を可能にするかたわら、彼らが国内の課税と社会保障制度を強化することを援助するためにさらに努力する責任があります。健全で自己充足的な民間部門を発展させるために低所得国が努力すると同時に、国際コミュニティは最低限、彼らに財政支援を提供するための世界基金を緊急に確立すべきです。
より長期的にグローバル・コミュニティの国々を包含するために、分かち合いの国内システムを支える原理を私たちが拡大するまで、発展のための持続可能で包括的な会議事項を追求することは不可能であり続けるでしょう。言い換えると、万人の人権を支持する真に統一された世界の実現への最初の主なステップである必需品とサービスへのアクセスを万人が保証されることを確実にできる、再分配の全国的および国際的形態に基づいた効果的な「グローバルな分かち合いの経済」を確立する必要があります。
上記は「グローバル経済の分かち合い入門」からの抜粋です。
フォト・クレジット; jonathan mcintosh, フリッカー・クリエィティブ・コモンズ