富の格差から気候変動や資源戦争にいたるまで、私たちが直面する危機が多かれ少なかれ、すべての国へ影響をおよぼすグローバル化された世界に私たちは住んでいます。

世界規模のコミュニケーション、貿易、そして金融のシステムは、異なった国の人々が高度に相互連結し相互依存する生活を営んでいるにもかかわらず、経済活動の利益は高所得国の都合の良いように極度に歪められたままだということを意味します。この現実と、富裕国と貧困国の間の多大な富の格差を考慮すると、経済的分かち合いのどのようなプロセスも国内環境のみに限定することはできず、惑星規模で活発に適応されねばなりません。
国内レベルでの経済的分かち合いの効果的プロセスは、必要不可欠な物資とサービスへの全国民ためのアクセスを保障にすることにより、社会経済的権利を守るための長期的義務を政府が実現するよう助長することができます。国連加盟国の殆どは「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約(the International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights ICESCR)」を含むこれらの義務を具体化する、法的拘束力をもつ人権上の数多くの手段をすでに導入しています。
しかしながら、国際ステージにおいて、最富裕国で享受されている食料、適切な住居、教育などの権利と、発展途上国での何百万という男女子供の基本的権利の日々の侵害との間には巨大な格差があります。この現実は、国内と同様に世界的基盤でより公平に資源を分かち合うことにより、治外法権的人権を政府が最終的に認識する必要性を示しています。
天候と資源が制限された世界において、グローバルな経済的分かち合いは、環境危機へ取り組み、重要な資源権益をめぐる国家間紛争を減らす主な役割を果たす可能性もあります。多くの環境主義者が提案するように、生態学的しきい値を超えることなくすべての国が公平に資源へアクセスできることを確実にするためには、グローバル・コモンズを管理する「公平な分担」的取り組みを必要とするでしょう。長期的に限りある資源をより平等に持続して分かち合うことは、私たちが地球の生産物を摘出し、分配し、消費する方法に大変大きな意味合いをもつ新たな世界統治の骨組みを必要とするでしょう。
グローバルな分かち合いの出現
歴史は、分かち合いの原理と調和した国際コミュニティとして、人類が協力的に取り組まねばならないという認識の重要な例をいくつか示しています。国連は平和と安全、経済的発展、社会的進展および人権を含む広範囲での論点において国際協力を促進させるため、第二次世界大戦後のその設立は政治的、世界的視点からの分かち合いの最初の主要な表現のひとつでした。国連が創設されて間もなく、戦争で壊滅されたヨーロッパ諸国への大規模な財源の移動へ乗りだした合衆国政府により、国境を越えた経済的分かち合いの主な行使が推進されました。「マーシャル・プラン」が利他的であったかどうかという真偽は歴史家が討議するところですが、今日の「グローバル・マーシャル・プラン」のために多くの提案を鼓舞した国際資源の分かち合いの偉大な可能性を、主に発展途上国での大規模な救助活動の形態で証明しました。
外国援助は余りに多くの関連問題を伴うため、国際レベルでそれは真の、または効果的な形態の分かち合いであると言えませんが、グローバル経済の分かち合いのより現代的な例は、1960年代以来OECD加盟国が発展途上国へ提供してきた「政府開発援助(ODA)」です。 さらなる例は、特定の文化的資源と天然資源が個々の国民国家や企業による搾取から守られ、未来世代の利益のために信託に保たれるべき「分かち合われるコモンズ」として認められることを可能にする、「人類共通の遺産」として知られる国際法における重要な先例です。
これらの注目すべき例外にもかかわらず、私たちのグローバルな結束は、国際政治経済の構造において依然として十分に表現されていません。グローバル経済の分かち合いの様々な形態を拡大強化するよりむしろ、世界の「オペレーティング・システム」は最強・最富裕国の競争的、地政学的権益に依然基づいています。同時に、国際貿易と財政のための規則を定める主な機関 – 世界銀行、国際通貨基金、世界貿易機関 – はすべて非民主主義的であり、大企業と富裕国の権益を促進することで広く批判されています。
国連とその関連機関を通してより包括的な国際的骨組みが即急に確立される必要があります。国連は著しい改革と民主主義化を必要とするにもかかわらず(特に拒否権の任意的力を伴う安全保障理事会を廃止し、経済政策立案のためのフォーラムとして国連の独立性を刷新することにより)、必要な委任と世界経済を再構築するプロセスをまとめる力をもつ、唯一存在する完全に代表的なグローバル機関です。
60年以上が経った現在、国連憲章と世界人権宣言は人類によって表現された最高の理想のいくらかを今も具現化しています。国連が根本的に最新され、さらなる権限を委託されるなら、国家間で高まるコミュニティ感を養成し、グローバル規模で経済的分かち合いを促進する立場に立つことができるのです。
このアーティクルは「グローバル経済的分かち合い入門」からの抜粋です。
フォト・クレジット: Pictoscribe, フリッカー・クリエィティブ・コモンズ