「後発開発途上国46カ国は世界の国内総生産の1.3%未満を占めるにすぎないが、難民全体の20%以上を受け入れている」と国連の新しい報告書は示しています。Common Dreamsのジュリア・コンリー記者による。
国連難民高等弁務官事務所は、世界中の強制避難に関する年次報告書を発表し、主に暴力的な紛争や気候関連の災害により家を追われた難民の数が1億1000万人という新記録に達したことを明らかにしました。数字は、危機が年を追うごとに急速に深刻化していることを示しています。
「Global Trends in Forced Displacement 2022(強制避難に関する世界的傾向2022)」という報告書によると、2022年末時点で1億800万人以上が難民として暮らしており、前年から2000万人近く増加しています。
最近スーダンで勃発した紛争により、今年はさらに数百万人が家を追われ、年半ばの合計は1億1000万人となりました。
気候危機によるものも含め、災害により3,250万人以上が避難を余儀なくされ、そのうち21%は世界の後発開発途上国や小島嶼開発途上国の自宅を離れました。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の対外関係担当ディレクター、ドミニク・ハイド氏は、同機関の報告書は「誰も祝いたくない世界記録」だと述べました。
自宅から強制的に移動させられた人々の大半(58%)は、自国で他の場所へ避難しています。紛争、迫害、干ばつや洪水などの地球温暖化の影響から逃れるため、3,500万人以上が母国から避難しています。
ウクライナ戦争は、第二次世界大戦以来最も急速に難民数が増加し、2022年の避難の主な要因となり、昨年末までに570万人がウクライナから避難しました。
エチオピア、コンゴ民主共和国、ミャンマーでも暴力によりそれぞれ100万人以上が避難を余儀なくされ、脆弱な立場の住民は自国内に避難しました。
ソマリアでは、2021年1月に始まった極度の干ばつにより、現在100万人が非難を余儀なくされています。干ばつは気候危機と関連付けられており、それが引き起こした食料不足は、かつてソマリアの小麦の90%を供給していたロシアとウクライナの戦争によって悪化しています。
「この100万人という節目は、大きな警鐘となる」と、ノルウェー難民評議会(NRC)のソマリア支部長モハメド・アブディ氏は述べました。「今や飢餓が国全体を悩ませている」
現在、約600万人のパレスチナ人が難民となっているほか、610万人のシリア人、570万人のアフガニスタン人、550万人のベネズエラ人が難民となっています。
難民の出身国は一般的に低所得国と中所得国ですが、グローバル・サウス諸国は富裕国に比べて避難民の受け入れと再定住の責任を不釣り合いに負っています。
「後発開発途上国46カ国は世界の国内総生産の1.3%未満を占めるにすぎないが、難民全体の20%以上を受け入れている」とUNHCRは述べました。
イランでは現在、アフガニスタンからの難民を含む340万人の難民を受け入れています。コロンビアとペルーも数百万人のベネズエラ難民を受け入れており、米国を含む国々はここ数カ月、迫害や紛争から逃れてきた人々が避難所を確保することをより困難にする政策を制定しています。
「1951年の難民条約に署名した国でさえ、その原則を全面的に遵守することに消極的な国が増えている」と国連難民高等弁務官フィリッポ・グランディ氏はロイター通信に語りました。
国際難民の記録的な数は、政策立案者が「紛争に突入するにはあまりにも性急で、解決策を見つけるのはあまりにも遅い」ことを示しているとグランディ氏は声明で述べました。
「その結果、家を追われた何百万人もの人々が荒廃、避難、苦悩を強いられている」と同氏は付け加えました。
同機関は、2011年に始まったシリア紛争以前の約20年間、世界中で4000万人前後で比較的安定していた難民数が、過去10年間で急増したと指摘しました。現在、74人に1人以上が避難しています。
「この10年間は暗いものだった」とノルウェー難民評議会のヤン・エゲランド事務局長はアルジャジーラに語りました。「毎年、世界は避難民の数が増えるのを目の当たりにし、避難民の保護と支援にほとんど手を打たない。難民と国内避難民の劇的な増加には理由がある。戦争と暴力を予防できず、緊急事態が長引く紛争解決に国内および国際的指導者が失敗している」
ハイド氏はロイターのコラムで、人々が安全に自宅に留まることを可能にしつつ、受け入れ国で支援が受けられるようにすることで、難民危機を緩和するのに役立つ解決策があると指摘しました。
「難民が国家制度に組み入れられ、勉強や仕事の機会を与えられると、彼らは依存状態から自立状態へと移行し、地元経済に貢献して、彼ら自身と受け入れ国の利益になる」とハイド氏は書いています。「受け入れ国が雇用創出、教育の提供、技術、気候変動の緩和、医療などについて適切な支援を受ければ、避難民と地元コミュニティの両方が恩恵を受けるだろう」
「条件が整えば、国内避難民が家に戻り、難民が帰国するのを我々は見てきた」と同氏は付け加えました。「2022年には、少なくとも570万人の国内避難民が帰国し、33万9,300人の難民も母国に帰国できた。しかし、これは永続的な平和が達成されて初めて実現できる」
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