人間が本来個人主義的で自己中心的であるという一般的な誤認に反して、贈与と分かち合いが、世界全体で社会のコミュニティ内の人間関係の基盤を長い間形成してきたことを、人類学者は示してきました。

最近の膨大な量の科学的研究は、人間として私たちが生存率と集団的幸福を最大限にするために協力し分かち合うという性質があるという証拠に基づいて積み立てられてきました。分かち合いと相互依存の行為なくして、社会と経済を構築するための社会的基盤はありえないでしょう。
この点において、分かち合いと平等の原理が、人道主義などの多くの世俗的運動や世界の宗教の重要な構成要素であるのは驚くべきことではありません。同じように、幅広くユダヤ教、イスラム教、キリスト教、仏教、ヒンズー教、そしてその他すべての信仰が、社会の弱者と非富裕者層を守ることの必要性と、富と資源を公平に分かち合うことの重要性についても詳しく説明しています。数千年間、分かち合いの原理は社会機構を支えるべき道徳的価値観や倫理と密接に連携してきました。
しかし、自然界全体と家族生活に分かち合いが広範に浸透しているにもかかわらず、私たちは、それが国際政治経済構造に具現化される国家コミュニティを構築することに大きく失敗してきました。世界の国々という家族を単一体と見なし、分かち合いの原理が使用可能な資源の集団的使用を管理することに重要な役割を担わねばならないことを受け入れるよりむしろ、グローバル経済は国家の私利、激しい競争、物質的獲得という対立する誤り導かれた対象に基づき築かれてきました。
大国による何世紀もの植民地主義と弱国からの搾取の結果、いわゆる先進国と発展途上国の間の生活水準に途方もない不均衡が存在します。それは、今日の世界の緊張の中心にある危機です。グローバル経済が天然資源の限界と地球のしきい値をますます超えると同時に、地球の有限資源の濫用の生態学的因果関係にもかかわらず、土地、エネルギー貯蔵、そして他の重要産業の投入資本をめぐり激化する争いが、人類生存の現実的な脅威を引き起こしています。
グローバル民主主義
国内および国家間で分かち合うことにおける集団的失敗が、私たちが直面する不平等の拡大と多数の危機の激化の原因であるなら、政治経済システムを分かち合いの原理により連携させることによって、それを改革する方法を見つける必要があるということは理にかなっているのです。そのような常識的見解から、土地やエネルギー、そして知識や技術などすべてを包括できる「経済的分かち合い」という言葉を、経済の組織化と資源の分配においてこの原理の適用方法を説明するために使うことができるのです。さらに分かち合いの概念は、国家と世界の両方で権力がどのように平等に分配されるかという点で、統治の民主主義形態へ適用されます。少なくともそれは、経済のグローバル化の規則を決定する主要機関でなく、参加型政治とグローバル民主主義にとって潜在的に劇的な意味合いをもちます。
経済と政治の観点から、「分かち合い」は基本的な人間のニーズと権利の達成への直接的道となり得、社会、経済正義の概念と自然に合致します。進歩的な活動家によって長い間認識されてきたように、社会正義は、市場メカニズムや慈善寄付を通じて達成できず、再分配的な政府の政策、効果的な法令の実現を必要とします。このように、分かち合いの原理を経済政策と関係づけることは、社会を組織する方法の核心へと切り込む分配上の正義と長期的な構造上の解決策の必要性を指摘する、収入と富の格差についての議論において重要です。
しかし経済的分かち合いは、特定の政策と手順の一式に伴われた構成概念や「主義」ではありません。分かち合いの原理は社会に偏在し、資本主義と社会主義の教義を数千年先行しています。すなわちそれは、現在と歴史上の政治哲学の何者にも負うところがありません。これは既存の政治理念と経済政策が、多くのケースに見られるように、分かち合いの原理を反映していないとか具現化していないということを言っているのではありません。政治経済の分野においてこのシンプルな原理を適応することは、万人の社会的、経済的権利を国家が保障できる方法についての討議の多くを依然として先導する、分断的な種々の「主義」の間をうまく乗り切るよう促進することをも可能にします。
現在と将来の世代のために人類は緊急に過去の制約的イデオロギーを越えて、すべての国の人々の共通ニーズを満たす解決策を受け入れる必要があります。それは、ある程度の経済的分かち合いなくして達成することは不可能でしょう。すべての政府が優先項目を徹底的に再調整する必要のあるますます不平等で持続不可能な世界で、経済の分かち合いへの呼びかけは、社会のあらゆるレベルで政策立案を導くための正義、人権、そして健全な環境管理の必要性を具現化します。
このアーティクルは 「グローバルな経済的分かち合いへの手引き」からの抜粋です。
フォト・クレジット: Calinago, フリッカー・クリエィティブ・コモンズ


